卸売業の存立根拠や必要性について考えてみました。 - 卸売業を深く知るためのサイト

卸売業の存立根拠や必要性について考えてみました。

卸売業の存立根拠や必要性について考えてみました。

卸売業はメーカーと小売業の間にいて、商品を仲介しています。
こう考えると、メーカーと小売業が直接取引すれば、卸売業はいらないという見方もできます。

しかし、実際卸売業がやっている業務は、商品仲介に付随するさまざまな業務を行っています。
典型的には、ロジスティクスとマーチャンダイジングです。

ロジスティクスは効率的な物流で、ローコストで、精度が高い物流のことです。
ただ単に配送ということではなく、在庫をコントロールしたり、ロス率、ミス率を下げるということです。

また、マーチャンダイジングは売れる品揃えです。

ただし、これは卸がやらなければならないわけではありません。
小売業が自らやってもいいものです。


しかし、二つの面から日本では卸売業がやったほうが効率的な状況にあります。

一つ目は、寡占化が進んでメーカー数、小売業数が少ない場合は、直接取引したほうが効率的です。
しかし、日本のようにメーカー数、小売業数が多い国では、間に卸がいた方が結果的には効率的になります。
このことは下の図から簡単にわかります。

20120528流通経路.png

もう一つの面は、誰がやってもいいのですが、効率的に行う方が選択され、残っているということです。
典型的には流通在庫のコントロールという面を日米で比較してみます。

下の表は、日米の食品スーパーと日本の卸売業のキャッシュ・ギャップ(もしくはキャッシュ・コンバージョン・サイクル)を比較したものです。

20151117-1.jpg

まず、日米の小売業の典型的には在庫日数の違いがあります。
米国は27.7日、日本は9.1日です。
ただし、米国の場合はメーカーと直接取引しているのに対して、日本では卸が間にいますから、公平に比較するためには日本の方は小売業と卸売業の在庫の合計日数で考えます。
そうすると、米国は27.7日であるのに対して、日本は18日となりますが、それでも日本の方が10日も短いのです。


しかも日本の方が品数は多いのですから、いかに日本の物流が効率的かわかります。
これは日本では卸売業のロジスティクス力が高水準であるためです。
ですから、ロジスティクス力で卸売業を凌駕する企業が現れれば、少なくともロジスティクス面ではその企業は勝ち組になるチャンスがあるということです。


しかし、現実にそんな企業が現れていないので、日本では流通在庫を卸売業がコントロールする時代が続いているのです。

ここで、売上債権回転日数と在庫の回転日数から買い入れ債務の回転日数を引いてキャッシュ・ギャップを計算します。
最近は、キャッシュ・コンバージョン・サイクルと言ったほうが通りはいいかもしれませんが、商品を仕入れて現金を回収までの期間を示します。
米国のスーパーは10.7日かかっていますが、日本のスーパーは14.3日のマイナスです。
これは、仕入れの14.3日前に現金の回収が終わっていることを意味します。

この差のほとんどが在庫日数の差ですから、いかに在庫をコントロールすることが大切か、十分に理解できると思います。

ただし、ここで述べた卸売業は、加工食品卸売業のことで、日本では最も進化した卸売業です。
すべての業界でここで述べたことが通用するわけではなく、業界として力のない卸売業もあります。
しかし、結果的に進化した卸売業がいて、手本があるものですから、他の業界の卸売業にも力のある企業がいます。


タグキーワード
2012-06-20 | Comment(0) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

Copyright © 卸売業を深く知るためのサイト All Rights Reserved.
当サイトのテキストや画像等すべての転載転用・商用販売を固く禁じます
Designed by カエテンクロスSEOテンプレート