弊著「日本の問屋は永遠なり」も分厚くて読むのが大変なのではないかと思うのだが、「ニトリの経営戦記」はページ数が弊著の20%増しで、しかも字も小さい。
これは読むのが大変だなと思ったが、とにかく面白くて引き込まれ数日で読んでしまった。
結論としては、三つの点から、ニトリはやがてユニクロさえも越える企業になるのではないかと感じた。
その三つの点は、似鳥昭雄氏の経営者としての資質、チェーンストアのメカニズムを熟知していること、最後は従業員を大切にし、しかも徹底的に鍛える社風という点である。
まず、似鳥昭雄氏の資質であるが、思い立ったらまず行動し、信念を貫き通し、それでいて人たらしと言えるほど自分をさらけ出し、相手の懐の入り込める力である。
二つ目が日本にチェーンストアの考えを持ち込んだ渥美俊一氏に傾倒し、徹底的にチェーンストア理論を学びつくしたということである。
渥美俊一氏の主催するペガサスクラブは弊著「日本の問屋は永遠なり」でもしばしば取り上げているが、まさに日本のチェーンストアを草創期から指導してきた存在である。
その中で、ニトリとサイゼリヤがまさにその優等生ということであったが、最近サイゼリヤは業績面からはすっかり色あせてしまった。しかし、ニトリはいまだにその理論の正しさを証明し続けている存在である。
しかも、同社では社員にこの渥美俊一氏のチェーンストア理論を浸透させるために、多くの社員にこのセミナーを受講させている。そして、社内で使う用語もすべて渥美俊一氏の用語辞典で共通化している。
社員の育て方も積極的な失敗にはペナルティがないなど、チャレンジしやすい環境となっている。社員も社内ではすべてさん付けで呼び、肩書が少ないフラットな組織となっている。
現時点において本社を読んで感じたことを論理的に整理して説明できるほど検証に時間が取れていないが、流通関係に身を置く方であれば、ぜひとも一読をお奨めしたい書籍である。