2000年代半ばにメーカーのコストアップにより悪化した卸売業の業績は、2009年度から2011年度に大きく改善し過去最高益を更新した。これはここ30数年間のパターン通りの展開であり、卸売業の存在感が高まっている我が国食品流通構造から考えると読み通りと言えよう。
しかし、その後ここ1年ほどで若干ここまでの好調さに変調が見られる。もちろん、短期間の変調であればこれまでも見られたわけであり、それほど危惧する必要はなかろう。しかし、今回は特に小売市場の競争構造の変化を伴ったものであり、従来の延長線上では考えられない局面に差し掛かっているようにも感じる。

そこで、「食品関連市場のニュートレンドと企業の盛衰―マーケットトレンドとメーカー、卸の取るべき戦略―」として、しばらくシリーズで記事を掲載してみたいと思う。
1990年代を境にした大店法緩和時代に我が国の食品流通市場の覇権構造は大きく変わり、卸売業を核とした日本独特の効率的、競争的な市場がこの20年間で形成された。これは加工食品卸売業を中心として、GMS、ディスカウンターなどの衰退と地域密着型の中堅スーパーやコンビニエンスの隆盛をもたらした。
そして、業態間競争に決着がつく中で、次に起こっているのが業態内での優勝劣敗の明確化と、各業態から生き残り業態への算入ではなかろうか。コンビニエンスでは上位3社の出店攻勢が始まり、中堅スーパーではグループ化の動きが加速し、GMSによる食品スーパーの強化などがその典型である。
そして、それに対抗するように、卸売業は合従連衡の傾向を強め始めた。これは小売業の寡占化に対応する面と、フルライン化への対応が主目的である。
「流通革命」刊行以降の50年間の我が国食品流通市場の変遷とその構造論に関しては、昨年5月発刊の弊著「日本の問屋は永遠なり」(アバン札幌、大竹慎一氏との共著)で詳細に述べた。本書がいわば日本における流通革命の勝者を論じるものであるとすれば、現在起こっている変化はポスト流通革命という変化であろう。
なお、「日本の問屋は永遠なり」の詳細はこちらをご覧ください。
http://cherry100.mods.jp/ra/s/495
次回はまず、このところの加工食品卸売業の業績変化の中身について述べることにする。
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