食品関連市場のニュートレンドと企業の盛衰(第3回) - 卸売業を深く知るためのサイト

食品関連市場のニュートレンドと企業の盛衰(第3回)

食品関連市場のニュートレンドと企業の盛衰―マーケットトレンドとメーカー、卸の取るべき戦略―

第3回

「伊藤忠食品の収益悪化の背景」

今回は上場大手加工食品卸売業の中から伊藤忠食品(2692)を取り上げて、このところの業績悪化要因の本質を考えてみることにしよう。

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2000年代における同社の業績推移は、同じく上場大手加工食品である他の2社とやや異なっている。三菱食品(7451)、加藤産業(9869)は順調に推移していた業績が、メーカーのコストアップを起因とする販売促進費抑制の影響により、2005年度から2007年度にかけて大きく落ち込んだ。

三菱食品の営業利益を見ると、2005年度のピーク利益が2006年度には51.9%の落ち込みとなった。年度ベースで見ると1期だけの落ち込みであるが、実際は前年同期比で見て2005年度下期から2007年度上期までが減益となっている。

一方、加藤産業でも2005年度の営業利益に対して2007年度の営業利益水準は39.2%減の水準となった。

それに対して同社の営業利益はピークが2002年9月期であり、2005年度から2007年度にかけて微減益が続いたが、2004年度の水準に対して2007年度でも6.8%減の水準にとどまっている。

この背景として考えられることは、顧客構成の違いと、営業スタイルの違いであろう。同社の主要顧客は大手スーパー、コンビニであり、他の2社は大手スーパー、コンビニもあるが中堅スーパーが主体であることによる。これは小売業の販売促進費の交渉が、大手の場合直接メーカーと行われるのに対して、中堅スーパーでは卸が関与するウエイトも高いためと考えられる。それゆえ、販売促進費抑制の影響に差が出たのではなかろうか。

またそもそもの収益構造自体も同社と他の2社では大きく異なる。他の2社は業態ごとの収益格差があまりつかないようにコントロールしているようであるが、同社は大手スーパーの収益性が低く、主としてコンビニと百貨店で収益を上げていると考えられる。大手スーパー向け売上の収益性はもともと低水準であり、ここにきてさらに悪化しているとは考えにくい。

おそらくは収益ウエイトの高いコンビニ向けの収益が落ちているのではないかと思われる。同社の取引コンビニはセブン・イレブンであり、セブン・イレブン自体は好調であるが、その中での同社の取扱い商品のウエイト低下と収益性が低い商品のウエイト上昇が起こっていると考えられる。

同社は基本的には常温帯の商品が中心であるが、セブン・イレブンの売上で大きく伸びているのは低温帯であること。また、常温帯も伸びているのであるが、卸売業の関与度が低く、卸にとって収益性が低いPBのウエイトが上昇しているためと考えられる。こう考えると、これはトレンドであり、その中でトレンドに逆らって収益性を改善するのは並大抵のことではなかろう。

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2013-10-21 | Comment(0) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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