イオン(8267)の業績が悪いのは増税・悪天候のせいか? - 卸売業を深く知るためのサイト

イオン(8267)の業績が悪いのは増税・悪天候のせいか?

9月27日付日経紙の一面に「イオン、営業益4割減(3-8月)」とあり、副題として「増税・悪天候で販売不振」とある。

記事によると、イオンの2014年3-8月の連結業績は、消費税増税後の販売回復の遅れが響いて、営業利益が前年同期比4割減った模様ということ。競争激化、天候不順で鈍った客足を取り戻そうと値下げし、採算が悪化した。ダイエーを含む主力の総合スーパーは営業赤字(前年同期は110億円の黒字)になった模様。

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小売り大手では、連結ベースでは営業増益となったセブン&アイ・ホールディングスでもイトーヨーカ堂は不振であったとのこと。

イオンの場合、カードや銀行業務の金融事業は20%増益ということだが、メインビジネスの不振には目を覆うものがある。

さて、日経の記事を読む限りは、消費税増税後に天候不順もあり、いかにも消費の調子が悪いというイメージになる。しかし、本当に消費は不振という日経のトーンは正しいのであろうか。

実は、日経のトーンは消費関連の中でもこの20年間の市場構造の変化に対応できなかった総合スーパーをいかにも消費関連の代表として捉え続けていることにより、市場に間違ったイメージを伝えていうのではないかと思われる。

例えば、この記事の前日26日の記事で取り上げられたニトリホールディングス(9843)の業績は絶好調であった。ニトリの場合、輸入品の構成比が高く、ここ1、2年の円安で大きなダメージを負っているはずである。しかも、消費税増税や天候不順によるマイナスはイオンと同じである。それにもかかわらず、業績は絶好調である。ちなみに、イオン同様の2014年8月上期決算は12.9%増収、20.4%営業増益であった。
参照記事:http://orosi100.seesaa.net/article/406031307.html

また、当ブログで取り上げているドラッグストアのクスリのアオキ(3398)の第1四半期決算も15.9%増収、33.4%営業増益と大きく伸びている。
参照記事:http://cherry100.blog108.fc2.com/blog-entry-1139.html

もう少し、イオンと似通った業態では、食品スーパーのヤオコー(8279)がある。イオンの場合、2月決算であるので、今上期決算には実は消費税増税前の駆け込み需要があった3月の数字も入っている。しかし、ヤオコーの場合、3月決算であり、すでに公表されている第1四半期はまさに消費税増税直後の4-6月であるが、それにもかかわらず12.9%増収、15.5%営業増益となった。
参照記事:http://orosi100.seesaa.net/article/403308959.html
しかもその後も月次が絶好調である。8月の既存店は7.5%増と驚異的な数字をたたき出した。
参照記事:http://orosi100.seesaa.net/article/405382889.html

いったいこれは何を物語っているのであろうか。

当ブログでは、日本の食品小売り流通市場では、諸外国で起こった大手小売業による寡占化が起こらなかった要因として、加工食品卸売業の高機能化があったと主張している。結果的に、大手小売業の本部機構と加工食品卸売業の機能競争で加工食品卸売業が勝ち、加工食品卸売業の機能を効率的に利用し、小さいな本部機構で済む地域大手スーパーが勝ち組となり、結果的に加工食品卸を利用するため自社による投資が二重投資となってしまった大手小売業が負け組となった。
この辺りは、弊著「日本の問屋は永遠なり」で詳細に解説している。
http://cherry100.mods.jp/ra/s/802

もっともこれはこの20年間で徐々に進んだことであるが、特に消費税増税後に顕著になってきているように感じる。実は消費税増税後は企業間格差が極めて顕著になっているのである。現時点でその背景やその中身に関して十分に検証できていないのであるが、傾向としては好調企業も客数より客単価で売上・利益を伸ばしている感じである。

例えば、ヤオコーの3-8月の累計データでみると、既存店売上高は5.2%増であるが、客数は1.3%、客単価が3.8%増となっている。クスリのアオキでは7-9月の既存店は3.9%増であるが、客数は0.1%減、客単価が4.0%増である。ニトリの場合、消費税増税前も含むが3-8月では、既存店売上高が6.0%増、客数は0.5%増、客単価は5.5%増となっている。

それに対して、イオンリテールの3-8月の既存店は1.8%減である。イオンの場合、客数、客単価の状況は開示されていないが、日経紙によると値下げしたとあるので、客数は上記3社と大差がないが、客単価が低下した可能性があろう。

これはどういう意味であろうか。現時点では推測の域を出ないが、消費税増税によって消費者が消費の中身を吟味するようになった可能性が考えられる。一方で、同時に企業業績が回復する中で、実質所得が上がったグループと下がったグループがある。上がったグループはもともと大企業で所得が高い層であり、下がったグループは所得据え置きの中、消費税の増税分実質所得が下がっている。加えて、消費税増税によってやや自動的に負担が増える通信費や、単価自体も上がる水道光熱費などの負担が大きく、下がったグループの消費余力が落ちているのではなかろうか。

そうなると、これまでのターゲットとしてきた客層によって現在の好不調が色分けされている可能性が考えられる。特にわかりやすいのは価格で客寄せをしてきたイオンの苦境と商品の価値で客寄せしてきたヤオコーの好調である。

総てがこれで説明できるとは思わないが、ニトリではこれまでは安さを前面に出してきた。しかし、品質対比での価格でライバルがいなくなった状況で、その品質対比の価格を維持、もしくは下げながら高付加価値、高機能の製品を打ち出し始め、顧客の支持を得始めている。これは、かつてのユニクロと同じである。安売り店から、リーゾナブルプライス、高機能への転換である。

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2014-09-28 | Comment(0) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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